今回は、新型インフルエンザの蔓延が問題となっており、感染者発生国(アメリカ)で行われる学会への参加の是非が悩ましい状況でした。しかしながら研究室として2つの講演を請け負っていたことから、寸前でのキャンセルはあまりにも迷惑を掛けるであろうとの判断により、永尾が参加して講演を行うことになりました。

ということで、タミフルとマスクを準備しておそるおそる出発。

到着してみると、マスクをしているのは日本人だけという状況で、初日のオープニングミキサーもいつもの学会と変わらない雰囲気の中で行われました(この時点でフロリダ州には感染者がいなかったというのもあるかもしれませんが・・・)。

2日目、午前の"Bioactive Lipids1" Sessionにて、食事リン脂質の機能性に関する研究成果について講演を行いました。他のセッションでは日本人の講演が幾つもキャンセルされて空洞化していましたが、我々のセッションは1講演も欠けることなく、充実したものになった事が喜ばしい限りでした。

また今年度、以前我々が米国の科学雑誌に発表していた論文が "Phospholipid Division Award for Best Paper"を受賞し、昼から行われたPhospholipid Division Meetingにおいて盾・賞状・副賞を頂きました。

授賞式に続いて授賞講演を行い 、3日目朝のAwards Recognition BreakfastにもAward授賞者として参加しました。以上をもって、今回の強行軍の主な任務を無事完了致しました。めでたしめでたし。


今回の学会は、ダウンタウンから離れた場所に建てられたコンベンションセンター付きリゾートホテルで開催されたため、気軽に出かける場所もなく会場内にほぼ缶詰状態でした。

ですが、記念すべき第100回大会ということで、展示場・ポスター会場ではギターの弾き語り演奏があったり、

生バンドによるKaraokeショーを楽しみながらのオープンテラスビュッフェディナーがあったりなど、お祝いムードがそこかしこに溢れていて何かと楽しむことが出来ました。

オーランドといえば、本場のディズニーワールドとユニバーサルスタジオがあることで有名ですが、時間的にも状況的にも遊園地に行っている場合ではありませんでした。でもせっかくフロリダまで来たので、最終日の空いた時間にレンタカーで40分くらいのところにあるNASA(ケネディー宇宙センター)を見学してきました。

翌週5月11日にスペースシャトルの打ち上げ予定があるとのことだったので、発射台にたっているのではないかと期待しましたが、残念ながらまだ倉庫の中のようでした。

シャトルは見ることが出来ませんでしたが、これまでの宇宙開発の歴史や国際宇宙ステーションに実際に搭載する機器の準備工場などを見ることができ、アメリカの宇宙にかける(かけてきた)情熱(戦略?)のすごさに圧倒されました。

ところでオーランドの地ビールはワニの絵が描いてある "ALLIGATOR DROOL"が有名らしく、“別にワニのエキスが入っているわけでもあるまいに?”と訝しんでいましたが、NASA周辺の川の随所にワニが出没したので、何となく納得した次第です(この土地のシンボル的動物というところでしょうか)。


学会中にはオーランドの高校でも新型インフルエンザの感染者が見つかって緊張が走りましたが、帰国日の時点では、弱毒性であるなどの理由から学校閉鎖も解かれるなど米国における対応は軟化してきていました。

とにかく無事帰国の途につき、機内で検疫官に提出する問診票を記入し、成田空港に到着しました。

検疫官を増やして迅速化を図っているとの事でしたが、GWの帰国ラッシュ時とあって、空港に着いてから約1時間飛行機の中に留められていました(あまりの長さに機内で携帯などの使用が許可された程です)。サーモグラフィーと問診の結果、感染が疑われる人は見付からなかった様で、マスクを貰って無事開放されました。

9.11テロが起こってしばらくの緊張感にも似たビクビクの学会出張でしたが、まあ無事終了と言ってよいのではないでしょうか。帰国後は、7日間の保健所による健康観察中、万が一を考慮して自宅待機を行いました。留守中ご迷惑とご心配をおかけいたしました。

ちなみに研究室へのお土産は、宇宙アイスとジャーキーでした。


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